住宅ローン金利上昇と東京23区の住宅価格動向:エリア別比較と今後の戦略

不動産の知識

住宅ローン金利の緩やかな上昇傾向が続いており、特に変動型の住宅ローンを利用している方々にとっては注意が必要な時期となっています。日本経済新聞の記事「住宅ローン金利、じわり上昇 変動型のリスク再認識」によると、東京都心部をはじめとする主要エリアの住宅価格には明確な差が見られ、地域ごとの戦略的な対応が求められています。本記事では、エリア別の住宅価格の動きを分析し、住宅資産の今後の戦略について解説します。

都心3区・副都心4区の動向

都心3区(千代田区・中央区・港区)と副都心4区(新宿区・渋谷区・豊島区・文京区)では、2023年から2024年にかけて住宅価格が約5%と約4%上昇しました。これらのエリアでは、高所得層の需要や海外投資が強く、価格は安定して推移しています。

特に注目すべき点は、駅徒歩10分超と10分以内の物件で価格差がそれほど広がっていないことです。これは、都心部の強い需要により、多少駅から距離があっても購入ニーズが維持されているためと推察されます。

※本コラムで使用しているグラフは、日経新聞の記事「住宅ローン金利、じわり上昇 変動型のリスク再認識」内のグラフを参考に作成しています。出典:日本経済新聞社

グラフ1*:都心3区・副都心4区の住宅価格推移(日本経済新聞社の記事データをもとに作成)

城南3区・城西3区の住宅市場

城南3区(品川区・大田区・世田谷区)では約3%、城西3区(中野区・杉並区・練馬区)では約2.5%の価格上昇が見られています。これらのエリアはファミリー層を中心に根強い人気がありますが、駅徒歩10分超の物件については価格上昇が鈍化しているのが特徴です。これは利便性が高い物件への需要集中が進んでいるためであり、今後の価格推移には注意が必要です。

※本コラムで使用しているグラフは、日経新聞の記事「住宅ローン金利、じわり上昇 変動型のリスク再認識」内のグラフを参考に作成しています。出典:日本経済新聞社

グラフ2:城南3区・城西3区の住宅価格推移(日本経済新聞社の記事データをもとに作成)

城北3区・城東7区の市場環境

城北3区(北区・板橋区・足立区)では約2%、城東7区(台東区・墨田区・江東区・荒川区・葛飾区・江戸川区・文京区)では約1.5%と穏やかな価格上昇が続いています。駅徒歩10分超の物件は比較的手頃な価格帯で購入がしやすい一方、価格上昇の伸びは鈍化しています。そのため、今後さらに都心エリアや実需が強いエリアとの価格差が開く可能性があります。

※本コラムで使用しているグラフは、日経新聞の記事「住宅ローン金利、じわり上昇 変動型のリスク再認識」内のグラフを参考に作成しています。出典:日本経済新聞社

グラフ3:城北3区・城東7区の住宅価格推移(日本経済新聞社の記事データをもとに作成)

最寄り駅からの距離による価格動向の差

住宅価格は駅からの距離により大きく異なります。都心・副都心エリアでは駅徒歩10分超でも比較的価格が維持されている一方、城南・城西エリアでは10分超の物件の価格上昇が鈍化しています。また城北・城東エリアでは10分超の物件は価格が抑えられていますが、今後の価格上昇は限定的であり、都心部との価格差は拡大する可能性があります。

今後の戦略とまとめ

住宅ローン金利の緩やかな上昇とエリアごとの価格動向を考えると、所有不動産の価値を再評価し、売却を視野に入れることも有効な戦略となります。特に価格が高止まりしている都心エリアや、利便性の高い駅近物件では、市場が好調なうちに資産を売却し、資産の安定化や家計のリスク回避を図ることが推奨されます。

今後の住宅市場の動向を注意深く観察し、適切なタイミングで戦略的な判断を下すことが重要です。ぜひこの機会に所有不動産の状況を見直し、最適な選択を検討してみてください。